CorottyBlog

フレンチブルドッグとの生活や、日々思うこと、感じたことなどを更新します。

指定管理がいいのか直営がいいのか①

 ご無沙汰しておりますcorottyです。だんだん更新頻度が「ご無沙汰です」になってきている気がします(笑)

 うつ病まっただなかの時は考えが止まらず、文章にしながら気持ちの整理をしていた部分も大きいのですが、ノートPCを開かないとすっかり遠のいてしまいます。ASUSを使っているのですが、キーボードと相性が悪いのかあまり好きになれずにおります。。。買い替えたい。

 

図書館は自治体直営がいいのか、一部(範囲はいろいろあるが)委託・PFI・指定管理者がよいのか

 今のマンションに越してきて3年。いまさらながら図書館でやっと利用登録を行ってきました。私が初めて図書館で働いたのは指定管理者でした。その配属された図書館の運営は指定された管理者に委託されています。

 施設管理、人員確保、事業、選書、蔵書管理。中央図書館の管理のもと、運営を民間の会社が担っています。初めて配属されたところは東京都内で、継続年数もそこそこ長く、指定管理者としてこなれてきていますし自治体との関係も比較的良好で大変働きやすく勉強になることが多かったです。業務フローも、組織構成もできておりこの職場がきっかけてこれからも図書館で働きたいなと思えたほどです。

 また、自治体の職員さんも司書としての経験がながく、司書の仕事を専門として続けられているという印象でしたので、厳しくとも納得のいく見解・考え方の方向性をお持ちだったといことも関係していると感じています。

そもそもの図書館の利用率について

 先ほど、初めていま居住している自治体の図書館で利用登録をしてきたと書きました。利用者目線で考えてみたところ、個人的には公共図書館は「自治体直営が強い」と感じました。業務の一部を民間に委託する、というのは様々な施設で見受けられます。役所・銀行・学校・病院・郵便局・コールセンター・営業などなど。派遣という働き方が一般的になってきた現代では当たり前の光景となりました。

 ですが、司書になるための勉強をすると図書館の意味・意義から考えていくと指定管理者がかならずしも良いものだ、とは考えにくい環境も見える部分があります。

散々、「指定管理者はダメだ」というクレームを受けてきても「指定管理者だから今のサービスを提供できるのだ」と強気で言えた自分も過去にいましたが、もっと深く掘り下げたらそんな単純な話ではないのです。

 考えがこのように変わったのは実はこの新型ウィルスの蔓延がきっかけでもあります。公共図書館の性質上、売り上げや利益などでそのサービスの評価が難しいという問題があります。一般企業のように商品やサービスを提供し金銭を得る、というものではないからです。民間に委託したところで、その仕事に対してどう評価を行うのか。

 無償で提供しているサービスである性質があるうえ、簡単に言えば「役に立っているのか」の指標が分かりずらい。思い浮かべていただきたい。実際のところ、公共図書館の利用率というのは実は割合としてはさほど多くはないのだ。例えば、皆さんが住んでいる居住区の図書館。よく利用してますよ~、という人、まったく利用していない人。かなりはっきり分かれていると思う。「勉強しによくいきました」「昔から図書館大好きです」っていう人の方が少ないのです。学校の図書室ですら、本を借りたことがあるのは授業のときだけ、なんてことないですか?授業で必要だから、勉強をしたいから行く。では所蔵されている資料で勉強に活かしているか、というと勉強しにきている学生さんはほとんど持ち込み資料で勉強しているので「勉強できる場所」程度にしか考えていないでしょう。図書館は活用されているようで活用できている人は少ないというのが実感です。

 それは距離や時間の問題もある。住んでいる地域に図書館がある、ということを知っていても実際に利用するか、利用できるかという点。中学・高校時代のときに図書館が市内にあり自転車でいける距離だとわかっていても、やはり利用しにくかった。学校の図書室は利用していたけれど公共図書館まで足を運びにくかった。

利用してなんぼ、利用者を集めて盛り上げる図書館

 魅力的なイベントなどの開催で集客を目的に盛り上げを見せてきた図書館業界だったが、この新型ウィルスの出来事から本来の図書館の存在意義が全国各地で問われてきた。未知のウィルスが猛威を振るい始めた頃、図書館は閉館、サービスを一時停止していた。こんな時こそ本を借りたい、図書館を利用してみたいと思った人も多いのではないか。

 実際の現場は、世の中の状況、企業としての姿勢、自治体の方針などを慎重に見極めていた。貸出ができない、図書館が閉館している。サービスを停止している状態で図書館の存在はどういったものなのか、運営側も考えさせられたのではないだろうか。

 これは個人的な愚痴だけれど、スタッフから「テレワークにならないのか」と言われたときに、なにをどうテレワークするのよ、とイラつきと笑いがこみあげたものだ。テレワークをしたければそういった業種を選びなさいと。本というものを媒介して成り立つサービスなのだから。わかりますよね?本の貸出ができなければまったく意味がないのだ。窓口に人を置いている以上、私たちの業務は「接客」「接遇」によるサービスなのである。

図書館設置数よりも貸出できる場所の多さ

 司書講習の中で特に取り上げられた第二次世界大戦終戦当時の風潮。

「ポストの数と同じくらいの図書館を」

識字率の低かった当時、・・・・・・コロナ禍で似ていると思った。読書ブームを巻き起こしている現代、当時ととても似た状況だと思う。当時でいうポスト。近所には500M以内にポストがありませんか?当時は子どものためにそのくらいの図書館の数が必要だという声が上がっていました。

 現代のコロナ禍では、評価基準であった集客効果も否定され、本来の図書館の目的は「本を利用者にとどける」ということである。つまり流通だ。多くの人の手に本がわたることを考えれば今でいえば「コンビニの数ほど図書館を」なのだ。だが、箱ものが必要ではない。

 図書館の問題点は図書館に行かなければ「本を借りること」「本を返すこと」ができないから図書館は人が集まるのだ。現代ではそれがクラスターの原因になるから良しとされない風潮になった。

現代では、図書館との関わりのある場所を増やすこと

 コンビニ経営をされている業者の皆さん、図書館の運営に参加してみてはいかがでしょうか。指定管理者として行政予算をとっていくよりも、貸出・返却サービスを自治体図書館と連携して貸出場所の提供をしていくことを検討していくことは双方・住民にとってWin&Winだと思うのです。(もちろん、サービス内容と予算をきちんと打診するべきですよ)

 箱モノの図書館運営を安く民間に託すよりも、直営で運営しながらサービス提供の場を増やすことが自治体としても住民への還元ができますし、場所の提供ができるというビジネスチャンスを民間企業が持てるのならそれこそ本当に経済が回ると思いませんか?

私は指定管理者がよいと思わなくなった

 少し前の時代であれば指定管理者を賞賛していた。しかし、時代の価値観の変貌の本来の図書館の存在意義を考えると、本来やるべき義務も明確に分かる。それを時間を延長する、開館時間を増やす、イベントで集客をする。なんだか正月も営業を始めた某百貨店やスーパーがやったことと似ている。結果的にどうなったかといえば、それが当たり前になったときには皆が疲弊してしまう。

 有資格者であっても賃金は最低時給。だが、「司書になりたい」「図書館で働きたい」と思う人は多くいる。司書になりたい、という意欲・好意を利用し奪うのはブラック企業だ。それだけは覚えておいていだきたい。

  コンビニで受け取れる、ということは例えば居住区の自治体に図書館が6館ったとして、受取・返却ができる場所が8か所あったとする。図書館という箱がなくても媒介できる場所が多ければ図書館を利用しやすくなるのだ。歩いて行ける場所に図書館という場所がなくても、図書館を利用する窓口があることは素晴らしいことです。

 なぜ図書館はいつも忙しく疲弊しているのか、それは「図書館に行かなければ本を借りたり返却できないから」なのです。だから時間を長く開館したり日数を増やす。しかし窓口が多ければ、指定管理者制度に頼らなくてもサービス拡大は可能なのだ。

 ただ、PFIという形態については期待している気持ちもわずかながらにある。20年の建築・運営をするというのも面白いし、良い企業が参加した場合かなりユニークな図書館が生まれるのでは?と思える。が、目に見えていろいろ問題あるよなー、デメリットもあるなーというので正直なところ関わりたくないなと着地。雑な仕組みに思えてならない。